コラム

香港問題から思う雑感

令和2年11月23日、香港の西九竜裁判所は民主活動家の黄之鋒氏や周庭さんら3人の人たちに対し、昨年6月に「逃亡犯条例」改正案に反対するため警察本部を包囲するデモに参加するとともに、デモ参加者を扇動した罪で有罪との判断をして、即日保釈を取り消して収監しました。刑期は12月2日に言い渡されるということですが、懲役5年にも及ぶ刑が科せられる可能性があります。

 香港では、香港国家安全維持法(国安法)という法律が成立し、令和2年6月30日に施行されました。
中国による香港国家安全維持法導入の問題については、スイスで令和2年6月に開かれた国連人権理事会で賛否が取られました。その結果は、「中国に反対」が日本や欧州などの27カ国だったのに対し、「賛成」はその2倍近い53カ国という惨憺たるものでした。
賛成の多くが権威主義的或な国いはいわゆる独裁国家だったり、中国から巨額の支援を受けている途上国だったりしたためだと思われます。
この結果を受けた中国は、自らの主張が国際的に認められたとして、その後、る些細な事実をもってこの法律に違反するとして、いわゆる民主派の活動家を次々と逮捕し裁判にかけるという蛮行が行われています。

そして、令和2年9月1日、遂に、中国政府ではなく、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、定例会見で「香港には三権分立はない」との考えを明らかにしてしまいました。これは、中国政府の意向を受け施政を行う香港政府の行政権が、香港の司法権及び立法権に優先されるとの立場を示しました。

近代国家においては、個人の自由権を守る制度として三権分立の制度が当然の政治構造として存在していました。
その歴史は西暦1600年代に遡ります。
それが将に今中国という巨大国家が自ら否定しているのです。

中国の政治は独裁政治であり、それによってどれだけの人権が蹂躙されているのか計り知れないのです。少数民族は自らの言語を否定され、宗教を否定されています。
中国は、中国共産党を政治の中心としていますが、その頂点に立って政治を自由に動かしているのは僅か7名程度です。

日本の企業は、未だ経済発展が進んでいない中国の安い人件費を目当てに工場などを中国に移し利益を得ていました。それが恰も企業のトレンドであるかのような様相を呈していた時期もあります。
しかし、そのような中国が今では日本を上回る経済的な力を持つようになってしまいました。
コロナ禍の当初マスクが不足したことがありました。極端に言えば、日本国内でマスクを供給する会社がなかったのです。自動車産業にしても、情けないことに、中国の工場が創業しなければ、自動車一台も作れないような状況となってしまいました。
比較的安価は衣料品をみると、そのほとんどが「MADE IN CHINA」です。
魚の練り物として加工された食品にしても中国製が多いのです。

一体日本の企業はどうなっているのでしょうか?「お金のためなら、自らの誇りも投げ捨てている」と言われても返す言葉など持ち合わせてはいないでしょう。

余談になりましたが、日本はキナ臭い政府のときもありますが、中国のように、それを批判しても逮捕はされません。それは、自由主義国家であり民主主義国家であるからです。
いろいろな物の製造を再び国内に戻し自力を付ける工夫をしなければ、外国から経済的にも脅迫的な行為を受けることは確実です。
そのような自力のある社会を作るのには、実業を充実されることが必須で、マネーゲームで数字的に貨幣を支配している虚業者たちが闊歩するような社会は歪んでいると言わざるを得ません。

日本から輸出するのは、質の良い物品だけではなく、「自由な心」「自由な発想」であり、自由な国にしかできない精神的なものではないでしょうか。
我々はそのような国に対して、これからもドンドン発信していくべきだろうと思います。