コラム

都議会の騒ぎについて

先般、都議会で、発言をしていた女性議員に対し、不当なヤジが飛ばされるという事件があり、今、その犯人捜しで世の中がひっくり返るような騒ぎです。そして、行為者の一人が自首しました。しかし、その議員も全てのヤジの事実を認めているのではなく、それより過激で不当なヤジを飛ばした議員については未だ(6/24段階で)判っていません。

今回のヤジの内容は、議会で議論されている事柄について何らの関係のない、とてつもなく愚かで、そのような発言をした議員の資質を疑わせるものであったことは事実です。

しかし、私は、現在も延々と続く報道の態度、被害を受けた女性議員の言動に若干の違和感を覚えましたので、それを敢えて提示したいと思います。

まず、女性議員の対応です。

議場で不当なヤジを浴びせられたとき、女性議員はヤジった方角を見て苦笑いのような態度を示しただけで、そのまま質問を続けました。そして、動揺のためか、早口となり一気に質問を終わらせるように感じました。質問が終わると、自席に戻りハンカチで目を拭いました。記者会見では、「悔しい」との言動がありました。

議場で不謹慎な言動を吐いたり不当な行動をなしたとき、議員であれば、その場において、議長に対し、それを告知するとともに、議長に対し、当該議員を名指しして、議場における秩序を乱したということで、懲罰を求めることもルールとしてはあるはずです。女性議員は議場では何も求めなかったのです。弁護士が法廷で侮辱的発言をなしたとき、真っ先になすことは法廷の主宰者である裁判官或いは裁判長は、事実確認をしたうえで、法廷管理権に基づいて退廷等の処分をなし、事実が重要であったときにおいては、行為者が弁護士であった場合、懲戒申立の対象となります。

今回、議場では全くそれがありませんでした。それは若干違和感を覚えます。

女性議員の「悔しい」との感想を述べたことについても違和感を覚えます。

今回の問題は、女性議員の個人の問題ではありません。上述のとおり、都議会の議場とは何か、そこでのヤジった人はどういうつもりで言ったのか、議事に関係あるのか、議場で不当なことが発生したときに議場において議会としてどのような行動を取るのか等々もっと公的な問題を含む重要なことだと思います。にもかかわらず、女性議員は一被害者として「悔しい」などという言動を吐き、自首した議員は女性議員に謝罪する行為に出ているのです。

ちょっと、違和感が多すぎます。

それとともに、当該女性議員が壇上に上がろうとしたときの議場の騒がしさ、そのノリはまるで学園祭でのマドンナが舞台に上がるかのようなものでした。それは、議場という市民の信託を受け議論をする場の雰囲気ではなかったような気がします。

犯人捜しは必要でしょう。不当なヤジをした議員は名乗り出て、東京都民にわびるべきでしょう。

しかし、それよりも議会とは何か、議場での議論とは何かをもう一度考え直すべきではないでしょうか?

不当なヤジを敢行した議員はそれなりのペナルティを受けるべきです。それは、議会が自ら決定すべきことです。それができない議会など不要のものだというのは言い過ぎでしょうか?

また、女性議員についても、嘗ての市川房枝さんがどのような戦いをしたのかを学ぶべきではないでしょうか?

報道機関のヒステリックな報道を何度も目の当たりにすると、女性の地位を高めるということはどういうことなのかを考えるべきではないかというくだらない発想も浮かんできてしまいました。

私たちの学生時代はもっと「猛者」の女性がいたような記憶がありますが、それは錯覚でしょうか?