久しぶりに何も用事のない日曜だった。
我が家の庭にもご無沙汰をしていて、雑草が生え、庭木の剪定も疎かになっており、庭が荒れ放題の状況だった。
天気も良かったので、庭木の剪定を始めた。
垣根状に植えられているシモツケの選定をした。シモツケの周りには名前は忘れたが地を這うハーブを植えてあり、それが花を付け良い香りを漂わせていた。
シモツケは、毎年、長く花を楽しませてくれる。シモツケは株になるので、余り古い枝は根本から切って新しい目を出させないと、とてつもない藪にようになってしまう。
今年も古い枝にもそれなりに目が出て花芽もついていた。しかし、いつになく新しい芽が根本から更新されて花芽もたくさんついていた。
ところが、古枝から出ている花芽は何ともなかったが、更新された新しい枝についた花芽の近くには無数のアブラムシがついていた。
一方、ハーブは、古い枝からも新しい枝からも同じ花が咲き、その周りにはたくさんのミツバチが来て、蜜を吸っていた。
私は慌てて噴霧器でマラソン乳液を希釈した水溶液をシモツケの若芽に散布した。ハーブにはかからないように。
アブラムシもミツバチも、若芽や花から発せられる芳香或いは一種のフェロモンに誘われて寄ってくるのだろう。
しかし、アブラムシとミツバチとの間には大きな違いがある。
ミツバチは、花及びその母体と共存している。蜜をもらう代わりに花粉を運び、植物の生命の維持に貢献する。
アブラムシは、植物の樹液を吸い取り、花だけでなく、植物の生命自体を脅かす。嫌な奴だ。
花は、盛期が去るとやがて枯れ、地面に落ちたり、枝についたまま朽ちる。それは時の流れであり、自然の当然の摂理だから仕方がない。
しかし、アブラムシに侵犯されると、せっかくの花芽も枯れ果て、盛期を迎えることなく朽ちてしまう。
シモツケの若芽もアブラムシを呼ぶようなフェロモンを出さなければ、そのような危険に晒されることはないはずだ。
ハーブとて、働き者のミツバチを寄せるためのフェロモンを放出しているのだが、それとともに、ハーブは自らを守るためにアブラムシを寄せ付けない確固たる成分を持っているのであろう。
それに対し、シモツケは、ハーブのようにアブラムシを寄せ付けないものを持っていない。シモツケはハーブに比べると無防備な植物なのだ。
だから、人間が消毒してアブラムシを駆逐し、可憐な花を咲かすシモツケを守らなければいけないのだ。
消毒を嫌う人もいる。しかし、シモツケの花を好む人にとってそのような悠長なことを言っている暇はない。
そう思って、人体にも優しくないし、ミツバチにも若干迷惑だと思いつつマラソンで消毒をした。