今夜、遂に参議院において、11本の国家安全保障法案が賛成多数により一括採決された。その一部始終をテレビで見た。
成立後、安部首相のコメントに、「(国家安全保障法により)国民の安全が守られる」「今後国民に説明していく」などというお決まりの談話が流された。
国民はこの法律によって守られるのか?
守られるはずはない。
ある国が日本に攻撃をかけてきたばあい、日本は、独自の個別的な自衛権により対抗することができることは当然である。
しかし、国家安全保障関連法により、このような場合でなくても、武力行使ができるのみならず、武力行使が海外でもできる余地がある。
これは何を示すだろう?
この法律が成立するまでは、日本人は海外で武力を行使することは明らかにできなかったのだ。
これを外国人からすると「日本人は外国に軍隊を派遣することはない国の国民だ」という認識があったはずだ。
ところが、この法律の成立により、日本国と米国・ロシア・中国・英国と何ら異なることはないものとなった。少なくとも、「外国人」からすれば、そのような認識の変更があるはずである。
この「外国人」には、テロリストも含まれる。
テロリストからすれば、この法律の成立により、日本人と他の国との区別が薄くなることは明らかだ。
そうなると、外国に進出している日本人の安全は危うくなるはずだ。
「外国では武力を絶対に行使しない日本国」の国民即ち「日本人」は、殊にテロリストにとっては存在しなくなったのだ。
テロリストは、他国と同じ価値観に基づいて、日本人をターゲットにする「正論」を与えてしまうのではないか?
これが「国民の皆さんの安全のため」とは到底言えない?
日本国が侵略を受ける可能性と海外にいる人がテロリストのターゲットになる可能性とはどちらが高いのかを考えてみれば容易に判るはずだ。
国家安全保障法によっては、絶対に国民は守られない。
「この法律が憲法違反だから、憲法を改正すべきだ。」などという見解にも与することはできない。
平和主義を基本理念の一つとして、世界にも理念的には最も進んだ日本国憲法を改正してはならない。
いつまでも「平和を心から大切にする日本人」でありたいと思うのは私だけだろうか?