若いころ、今から20年くらい前だと思う。
人の幸せとは何だろうとふと思っていたことがある。
そんな折、車で旅行をした。山の中を走っていると、それこそ猫の額とでもいうような畑で、手拭いで姉さん被りをした一人の老婆が鍬を振るって畑を耕している。
私も若かった。ふと、「あのお婆さんは幸せなんだろうか?」というより、「世の中広いのに、それを全く知らず、ここで生まれて、ここで一生を終える。」という一種の哀れさえ覚えた。
現在、私はこのときのような感覚は全く持っていない。
若さとは如何に傲慢なものだったのだろうと思う。それとも自分自身がそもそも傲慢な人間なのかもしれない。
年を取ることは、基本的に嫌だが、良いこともあるかもしれないと思う今日この頃だ。